不遜な蜜月


梶谷 美紗は恋人でしたか―――なんて聞けるはずもない。

嘘でも否定されたら、忘れようと思える。

でも、肯定されたら、どうするんだ。

覚悟もなしに、他人の過去に土足で踏み入るものじゃない。


「・・・・・・そうか」


理人は安心したような、けれども不安を拭いきれないような、そんな複雑な顔をしていた。










―――・・・・・・。

不本意だ。

とてつもなく不本意だ。

けれど、来なければいけないと感じたから、来た。

会って文句・・・・・・もとい、注意するために来た。


「この間は途中だったし、また来てくれて嬉しいわ」


美紗がニッコリ笑って、玲奈の爪に意識を集中させる。


遡ること数時間前、玲奈は所用で外に出ていた。

会社へ帰ると、何やら見覚えのある女性が受付嬢を困らせているようだったので、嫌々声をかけることにした。