不遜な蜜月


「!!!」


危うくパニックを起こしそうになった。

顔との距離が近づいて、呼吸さえも気を使う。


(ホントに寝てるのかな?)


寝息は聞こえるし、起きているようには見えない。

真緒は少し体勢を変えて、理人の胸に顔を預ける。


「・・・・・・」

「・・・・・・ん・・・・・・」


理人が微かに、身じろぐ。


「・・・・・・真緒・・・・・・」

「は、はい」


名前、呼ばれた。

今度はしっかりと聞こえて、思わず返事をしてしまう。

しかも、香坂じゃなくて、下の名前。


「・・・・・・社長?」

「・・・・・・なん、だ?」

「!」


返事が返ってきて、真緒は慌てて顔を上げる。

理人の瞼が、うっすらと開いて、腕の中の自分と目が合う。

心臓の鼓動が早くなる。