不遜な蜜月


嘘だと、すぐにわかった。

隠したいのだろう、その梶谷 美紗という女性のことを。


(社長の恋人、とか・・・・・・?)


こんなにも必死に言い繕うのだから、真緒には知られたくないのだ。

それは、つまり理人に関係すること、だろう。


「そ、そうだわ! 式の予定とかは、決まってるの?」


あからさまな話題の切り替えに、胸がチクリと痛んだ。


(やっぱり、社長の恋人なんじゃ・・・・・・)


何だろう。

気持ちが悪い。

そうだ、つわりだ。

真緒は口元を押さえ、何かにしがみつこうとファイルが並ぶ棚に手を伸ばす。


「大丈夫? ごめんなさい、出ましょうか?」

「すみません、お手洗いに・・・・・・」


吐いてしまいたい。

全部、全部、吐いてしまいたい。

胸をぐるぐると掻き回す、この嫌な感情も全部。

吐き出してしまいたかった。