不遜な蜜月


「なんだか順調そうに見えたから」


彩子がそう言いたくなるのも、わかる。

理人が出張に出て2日。

何度か、真緒の携帯に連絡が来ていた。

メールも当たり前に返信できるようになったし、電話はまだ少しだけ緊張するが、以前程じゃない。

順調、なのだろう。


「香坂さん、いらっしゃいます?!」


静かなオフィスに響く、女性の声。

息切れしているような声は、自分の名を呼んだ。


「秘書課の青山 玲奈」


彩子がごくんとマフィンを飲み込み、まじまじと玲奈を見つめる。


「えっと、香坂は私ですが・・・・・・」


恐る恐る手を挙げれば、玲奈が安堵の息を漏らしたのがわかった。


「少しだけ、お付き合いいただけますか?」

「は、はい」


有無も言わさぬ迫力を感じ、真緒は素直に頷いた。