「香坂、ね。どんな子なのかしら」
赤いマニキュアを指で小突いたら、強すぎたのか、床に勢いよく落ちてしまう。
少し欠けてしまった外装に、自分の顔が歪んで映っていた。
「今日のデザートはチョコチップマフィン!」
いそいそと紙袋から取り出したのは、出来上がったばかりらしいマフィン2つ。
お昼もしっかり食べた彩子の食欲は、まだ満たされていなかったようだ。
「部長に怒られるよ」
「賄賂は渡してあるわ」
彩子が指差した先には、部長のデスク。
その上には、彩子が持つのと同じ紙袋の姿が。
(部長、毎回賄賂もらってるのね)
注意してこないあたり、賄賂の効果は絶大のようだ。
「社長がイタリア出張で寂しい?」
「そんなこと・・・・・・」
彩子が意味ありげな視線を向けるので、真緒は慌てて顔を逸らす。


