不遜な蜜月


笑顔をまったく浮かべていない、無表情なままの玲奈。


(知ってたら来なかったのに)

「もっと色んな色を試してみたらどう? 赤とか。情熱的でしょ」


赤いマニキュアを取り出し、美紗は微笑む。


「秘書には派手すぎますから。梶谷さんには良くお似合いだと思いますよ、その赤」

「あら、ありがとう。でも、いつも同じ色、っていうのもつまらないでしょう?」

「私はつまらないから、って何でも別のものに飛びついたりしません」


空気が重い、というよりは、ピリピリしている、というべきか。

お互い、好意的ではない間柄のため、会えばいつでもこんな感じだ。

うわべだけの会話と世辞に、周りの方が胃を痛めてしまいそう。


「そういえば、お祝いがまだだったわ。おめでとうございます」

「は?」


眉間に露骨なまでのシワを刻み、玲奈が怪訝な視線を向ける。