もう少しだけ、手を繋いでいたい。
真緒がその気持ちに気づいたように、繋ぐ手に力を込めた。
―――・・・・・・。
当初の予定通り、理人は一臣を連れてイタリアへと旅立った。
社長室は、2日間も主がいないまま。
明後日には帰ってくるであろう、自分の上司を思い出しながら、玲奈は自身の爪をつまらなそうに見つめていた。
「トップコートを塗るだけなの? 普段から」
ニッコリ笑う梶谷 美紗を前に、玲奈はいたく機嫌が悪い。
1時間程前、同僚から会社近くに、新しいネイルサロンがオープンしたのだと誘われ、訪れた。
身なりには気を使っているが、ネイルケアはあまり得意ではないので、日頃はトップコートを塗るだけ。
たまには爪を綺麗にしても良いかもしれないと、誘いに乗ったのはいいが・・・・・・。
「あなたがオーナーだったなんて、知りませんでした」


