不遜な蜜月


緊張が解けた彼女は、力が適度に抜けているのか、座席に深く背を預けていた。


「君のご両親は、どんな方だ?」

「え? 普通、ですよ。仲は良いですけど」

「そうか・・・・・・」


信号が青に変わり、車が走り出す。


(社長のご両親・・・・・・)


きっと、聞かない方がいいのだろうと、真緒は口を閉じる。


「俺の両親は、仕事人間だった」


理人が、ポツリと呟く。


「授業参観は来ないし、誕生日やクリスマスもひとりだったな」

「社長・・・・・・」


理人は笑っていたが、真緒には泣きたそうな子どものように見えた。


「悪いな、こんな話をして」


苦笑する理人の手を、真緒が握りしめる。


「ごめんなさい、運転の邪魔に―――」

「いや、いい。このままで・・・・・・」


柔らかな手のぬくもりに、理人はなんだか、泣きたい気持ちに胸を締め付けられていた。