不遜な蜜月


ワインリストを閉じ、メニューを開く。


「・・・・・・」


値段が書いていないメニューは置いといて、今は何を食べる、よりも何なら食べれる、ということで頭がいっぱいだ。

フォアグラとか松坂牛とか伊勢海老とか、普段ならば嬉しいメニューも、今は魅力的に映らない。


「食べれそうか?」

「・・・・・・」


理人が心配そうに真緒に囁く。

真緒の見ているメニューは、メインのページではなく既にデザートのページ。

お肉もお魚も、今はまともに食べられる気がしない。


「デザートでもいいぞ。食べられるものがあるなら」


真緒の食べる量が減っているのは、理人も知っている。

ならば、デザートだろうと食べてくれるだけでも十分なのだ。


「気にしなくていいのよ、真緒さん。つわりは大変だものね」


同じ女性で、つわり経験者の楓。

真緒ににっこりと笑いかけている。