真緒はマフラーから視線を上げ、座席に背を預ける。
もう少し、肩の力を抜こう。
大丈夫。
力んでいたのでは、きちんと話もできない。
自分で自分を落ち着かせ、真緒はひとつ、小さく息をついた。
目的のホテルへは、差ほど時間はかからなかった。
理人は慣れているらしく、約束のレストランがある階まで行くため、エレベーターに乗り込む。
「大丈夫か? 顔色が悪い」
「・・・・・・」
大丈夫、と言いたかったが、口を開くと吐いてしまいそうだった。
タバコや香水の匂い。
普段ならば気にならないが、つわりが酷い今の自分には、どうしても辛い。
「少し休むか?」
「・・・・・・平気です」
ふと、理人が真緒の背中に手を添える。
距離が縮まり、真緒は思わず見上げてしまいそうになる自分を堪えた。


