不遜な蜜月


―――真緒自宅。

社長室を訪れてから数日がたち、真緒は悩んでいた。


「う〜ん・・・・・・スーツの方がいい気もするけど・・・・・・」


もう30分以上も鏡の前で睨めっこしている。


「堅苦しい席じゃないにしても、やっぱりスーツの方が―――」


真緒の独り言を掻き消すように、玄関でチャイムが鳴る。


「は〜い。・・・・・・いらっしゃい、彩子」


玄関を開ければ、笑顔の彩子が立っていた。


「お邪魔します。晩ご飯は食べた? まだなら、なんか作ろうか・・・・・・って、これは何?」


床に散らばる服を見て、彩子が呆れたような声を出す。


「前に話した、顔合わせが明日なの。それで、服を」


電話が来たのは昨日。

顔合わせはお昼、ホテルのレストランで、ということに決まったらしい。


「なるほどね。スーツで行くの?」