言わないほうがよかったかも、と後悔してしまいそうになる。
未だに現実味はないが、夫婦になるのだ。
少し会うだけでも緊張してしまうのに、結婚してからも今と同じままの距離感でいたら、一緒には住めない。
一気に距離を縮める、というわけにはいかないが、歩み寄る努力も必要だ。
そのための第一歩が連絡先を知ること、とは少し情けない話でもあるのだが。
「俺は構わない。自宅の番号も教えておこう」
理人は名刺を取り出し、裏に自宅の電話番号を書いて渡す。
「あ、私の番号・・・・・・」
「工藤から聞いている」
「え?」
驚く真緒に、理人はばつが悪そうに苦笑する。
「すまないな」
「いえ・・・・・・」
「では、日時が決まったら俺から君に連絡しよう」
理人の名刺をポケットに仕舞い、真緒はソファーから立ち上がる。
「エレベーターまで送ろう」


