不遜な蜜月


「はい。・・・・・・出張、ですか?」

「イタリアにな。工藤を置いていくから、何かあれば工藤に言ってくれ」


長期間の出張ではないが、連絡があってすぐに帰ってこれる距離ではない。


「でも、工藤さんがいないと社長が困るんじゃ・・・・・・」

「君が気にすることじゃない」


確かに、本来ならば一臣を同行させるのだ。

向こうの家具メーカーの社長は、気難しいことで有名。

職人気質なのだろう。

理人は何度か彼と会い、親しい間柄になったし、一臣も信用を得ている。

やはり、一臣を同行させるのが1番安心だ。

海外での不測の事態に対応できるのも、やっぱり一臣だと思うし。


「・・・・・・」

「社長、私なら大丈夫ですから」


心配されて悪い気はしないが、仕事に支障をきたすようならば、遠慮するのは当然だ。