これ以上は、自分が惨めになるだけだ。
目を伏せ、美紗は唇を噛み締める。
目の前のこの男は、いつだって本気を見せず、自分の思い通りにはならない。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
理人は何も言わずに、部屋を出ていく。
静かになった部屋で、美紗は脱力したようにイスに腰を下ろす。
「・・・・・・ホントに、勝手な男・・・・・・」
私の気持ちなんて、知りもしないで―――。
思い通りにならない男。
それが憎らしくて、憎らしくて、同時にとても惹かれた。
無い物ねだりだとわかっていても尚、惹かれずにはいられない。
そんな男が―――。
「結婚、ね。笑っちゃうわ」
理人の分のシャンパンを飲み干し、美紗は深く息を吐き出す。
「独り寝って、嫌いなのよね・・・・・・」
空になったグラスにシャンパンを新しく注ぎ、ぐいっと飲み干す。


