不遜な蜜月


シャンパンを飲もうと、グラスに手を伸ばす。


「お前とこうして会うことは、もうない。それを伝えに来た」

「・・・・・・」


グラスに伸ばした手が止まる。


「勝手な話ね。私の気持ちはお構いなし?」

「お前は別に、俺と結婚したかったわけじゃないだろ?」


お互い、割り切った関係だと知っていた。

そして、いつまでもこの関係が続くとは、思っていないはずだ。


「・・・・・・そうね。結婚したかったわけじゃないわ」


決して恋人とは言えない、自分たちの関係。

それでも、美紗はそれなりに満足していた。


「話はそれだけ?」

「あぁ」

「・・・・・・」


理人が立ち上がろうとした瞬間、美紗はそれより早く立ち上がった。

理人をイスに押し付け、睨むように見据える。


「少しは驚いた顔、しなさいよ」


冷静そのもの、という理人の顔に、美紗は苦笑する。