「・・・・・・あぁ、俺だ。今夜、時間はあるか? 場所はお前に任せる。あぁ、じゃあ後で」
携帯を閉じ、理人は気持ちを切り替えることにした。
―――・・・・・・。
仕事終わり、いつもなら真っ直ぐ自宅へ帰るか、軽く飲んで帰るところだが、今夜は別の用件があった。
ホテルの一室、理人はシャンパンの注がれたグラスに口をつけることなく、テーブルへ置く。
目の前には、梶谷 美紗。
今夜の彼女は、全体的に控え目な印象を受ける。
ナチュラルメイクに、お嬢様を思わせる清楚な出で立ち。
ただ、ネイルだけは彼女好みに仕上げられている。
「お母様の知り合いと会ってたの。今度、娘さんの大学の卒業式があるから、ネイルをしてくれ、って。・・・・・・興味なさそうね?」
美紗は微笑み、シャンパンを一口飲む。


