―――・・・・・・。
ふわりと鼻をかすめた、覚えのある香り。
「ん・・・・・・」
「・・・・・・起きたか?」
うっすらと開いた視界に映るのは、こちらを見ている理人の顔。
「あ・・・・・・」
眠っていたことに気づき、慌てて体を起こす。
車は止まっているが、車内は暖かい。
「す、すみません」
外を見れば、自宅マンションのすぐ目の前だ。
一体どれだけの時間、自分は眠っていたのか。
「いや、構わない。顔色、だいぶ良くなったな」
「え? あぁ・・・・・・」
吐き気もおさまっているし、気分も悪くない。
「・・・・・・」
真緒はふと、バッグの中にあるものを思い出す。
「どうかしたか?」
「あ、今日、産婦人科に行ってきたんです」
理人は興味のないことかもしれない。
けれど、せっかく今目の前にいるのだし、と真緒はバッグを手に取る。


