「両親は子どもの頃に亡くなっています。結婚は、祖父母に報告します」
「そう・・・・・・」
菜緒が少し申し訳なさそうな顔をする。
「お気になさらず。私自身、両親との思い出は少ないので」
仕事で多忙だった両親は、もう写真でしか顔を思い出せない。
思えば、家族というものが、理人には少しだけ、遠いもののように感じられる。
祖父母はいても、父や母とはやはり違うものだ。
「うちの両親には、私から話しておきますから、また後日、ですね」
「構いません。お会いできて、よかったです」
理人は微笑み、部屋を見回す。
自分が育った家とは違う。
家族写真、床のおもちゃ、キャラクターのぬいぐるみ。
「ただいま〜!」
遼太郎の元気な声が、室内を明るくする。
「お帰り、遼太郎。真緒も、お帰り」
「ただいま。えっと・・・・・・」


