不遜な蜜月


けれど、菜緒の質問は違ったようだ。


「あなたの思う、あの子の良いところ。それを教えてください。黒崎 理人さん」

「良いところ・・・・・・?」


頷く菜緒に、理人は視線を落とす。

この質問の正解、なんてわかるはずもない。

だが、答えない、という選択はないのだ。


「・・・・・・他者に寄り添える優しさ、でしょうか」


優しさ、と言えばいろいろあると思う。

他者に手を差し延べるのも優しさだし、先程の遼太郎を叱った菜緒の厳しさも優しさだ。

そんなたくさんある優しさの中で、真緒の優しさを例えるならば、と理人が口にした“答え”。


初めて会った時、彼女は理人が自分の勤める会社の社長だと気づかなかった。

そんな彼女が、あの夜言った言葉―――。

【社長の疲れを癒してくれる、そんな女性と出会えればいいな、と思うわ】

なんの計算もなかった彼女の言葉に、確かな優しさを見つけた気がした。