「遼太郎のこと、よろしくね」
「姉さん?!」
半ば強引に真緒を押し出し、菜緒はリビングへと戻る。
「お忙しいのでしょう? 社長、と妹から聞きました」
向かいのソファーに腰を下ろし、コーヒーに砂糖を入れる菜緒。
「今日は休みですから」
「そうですか。妹・・・・・・真緒からは、あなたがあの子の勤める会社の社長、くらいにしか聞いていないの」
詳しいことは、何も聞かなかった。
聞いたのは、理人の仕事と年齢くらい。
「聞きたいことはいろいろあるわ。結婚するに至った経緯とか」
「話せ、というのであれば、お話します」
理人は視線を逸らさない。
そんな理人に、菜緒は笑う。
「そうですね。でも、聞きたいのはひとつだけなの」
「聞きたいこと、ですか?」
なんとなく、予想はできる。
幸せにできるのか、とか、どうして結婚する気になったのか、とかだろうか?


