慌てて真緒が口を開く。
「・・・・・・ふぅ。それで?」
「え?」
「何か言いかけていなかったか?」
「あ、いえ。・・・・・・なんでもないです」
真緒は首を振り、しばらく真っ直ぐ、とだけ伝えて目を伏せる。
(きっと社長は興味、ないものね)
バッグを握り締める手から力を抜き、真緒は小さく息を吐いた。
―――菜緒・自宅。
「いらっしゃい」
出迎えてくれた姉は、普段となんら変わらないように見える。
見慣れたリビングへと続く廊下。
真緒は緊張を隠せぬまま、リビングに足を運ぶ。
「お茶をいれるわ」
「これを。お口に合えば良いのですが」
理人が差し出した白い箱を、菜緒が受け取る前に飛び出してきた小さな手が受け取る。
「ケーキ? チョコのケーキ、ある?」
「遼太郎」


