不遜な蜜月


何となく、気まずい車内。

高級車の助手席で、真緒は時折、道案内のために口を開く。

音楽もかけられておらず、エンジンの音も静か。


「寒くないのか?」

「え?」


不意に話を振られ、真緒は視線を理人に向ける。

理人の視線は、真っ直ぐ正面を向いたまま。


「薄着に見えるが。マフラーはどうした?」

「あ・・・・・・」


多分、理人が貸してくれたマフラーのことだろう。

あまりに高級感溢れるマフラーだったので、少々使うのに抵抗があった。

返さなければ、と思っていたのだが、返すタイミングがわからないまま、今に至る。


「大丈夫です。ちゃんと着てますから」

「そうか。なら、いいが」

「あの・・・・・・」


真緒はバッグに視線を落とし、どうしようか悩むように声をかける。


「ん?」

「実は今日・・・・・・あ、そこを右ですっ」