不遜な蜜月


おかしな話だが、スーツの方が落ち着く。


「・・・・・・」


スーツは無地で、ネクタイもシンプルかつ控え目な色を選ぶ。

初対面の相手の場合、やはり見た目から入る。

それは、どんな相手だとしても同じことだ。

シワの寄ったシャツよりも、アイロンのかけられた真っ白なシャツ。

当然と言えば当然だが、初心を忘れることほど恐ろしいことはない、と祖父に厳しく教えられてきた。


「もうそろそろ、出るか」


話し合いの場所へは、真緒と行くことになっている。

車のキーを手に、理人は自宅を出ることにした。











話し合いの場は、込み入った話もできるように、と真緒の姉・菜緒の自宅ということになっている。

どこか店の個室でも良かったのだが、菜緒自身の提案でもあったので、無下に断るのも悪い。


「あ、次の信号を右・・・・・・」