不遜な蜜月


「何かあったのか?」


書類をめくりながら、電話に意識を向ける。


『もうすぐお約束の時間ですので、ご連絡を』


今日の休日は起きて仕事に集中しているが、日頃の疲れを癒すように、昼過ぎ、もしくは夕方まで眠っていることが理人にはある。

それを心配しての電話だったのだ。


「忘れていない。・・・・・・無事に済むと思うか?」


時計に視線を向け、声が少し重くなる。


『それは、社長次第、ではないでしょうか?』

「そう、だな」


どちらにせよ、ここまで来て引き返す、なんてことはできない。


『では、吉報をお待ちしております』


携帯を閉じ、理人は立ち上がる。

寝室に行き、クローゼットを開く。

寝室に備え付けられたクローゼットには、よく着るスーツが綺麗に並べられている。

普段着よりも、スーツの方が多いかもしれない。