(だが、正直に言えば面倒、だな)
この状況、理人は圧倒的に不利な立場。
聞いた感じだと、真緒の姉は頑固そうで説得は難儀しそうだ。
「はぁ・・・・・・」
「・・・・・・あ、あの」
真緒が躊躇いがちに、理人に話かける。
「なんだ?」
「大した事じゃないんですけど・・・・・・。その、産婦人科は私が今行ってるところでいいです、よね?」
まぁ、理人の許可は必要ないのだが、他に話題なんてないし。
「それは君の好きにしていい」
「は、はい」
また訪れる沈黙に、真緒は俯いてしまう。
本当に、この人と結婚するのだろうか?
そんな気分に陥ってしまう。
「夕食は、どうする予定だ?」
「え? あぁ・・・・・・あまり、食欲が出なくて」
今は、何を見ても吐いてしまいそう。
「食べなければ倒れるぞ。顔色も悪いし・・・・・・」
前髪に理人の手が触れて、真緒は驚いて肩が揺れた。


