不遜な蜜月


「・・・・・・よろしくお願い、します」

「あぁ」


ここは素直に、理人の好意に甘えるべきだ。


真緒の答えを聞いた瞬間、理人がどこか安堵したように見えた。


「それと、ご両親への挨拶の件だが―――」

「・・・・・・」

「どうかしたのか?」


その話題に、真緒は視線を泳がせる。

それに気づいた理人が問う。


「その、昨日姉に連絡したら―――」


真緒は昨夜のことを、大まかに説明した。

黙って聞いていた理人は、説明が終わると重く息を吐き出す。


「すみません・・・・・・」

「君が謝る必要はない。それに・・・・・・」


真緒の姉が言うことは正しい。

理人は自分の都合で一度、真緒を突き放して傷つけた。

そしてまた、自分の都合で真緒に結婚を申し込んだ。

すんなり事が進むとは、始めから思ってはいない。