不遜な蜜月


まだ、残っている。


「・・・・・・忘れよう」


一夜の過ちだ。

忘れてしまうのが、1番簡単で、1番正しい。

そう決めて、真緒は乱暴に服を脱いだ。

香ったはずの昨夜の匂いは、もう消えていた。










あの夜から、2週間が過ぎた。

禁酒は順調に続いている。

だが、真緒は自分の手帳を睨み、心配そうな顔でいた。


(生理が2日遅れてる・・・・・・)


毎月きちんと来る生理は、あまり日にちがずれることもない。

不安になってしまう。


「どしたの?」


買ってきたばかりのパンを袋から取り出し、彩子は手帳を睨む真緒に差し出す。

今日は外へ食べに行く暇がないので、彩子が昼食を買いに行ってくれた。


「生理が、まだ来ないの」

「明日には来るんじゃない?」

「そうかな?」


手帳を閉じ、渡されたサンドイッチを一口かじる。


「大丈夫だって。たまには遅れることもあるよ」