不遜な蜜月


この紙は、それをコピーしたものだ。


「社長にお渡ししておきます。もう少しお時間をいただけるのでしたら、より詳しい資料をお渡しできますが―――」

「いや、これでいい」


理人は慌てて紙を受け取る。


「そうですか。では、業務に戻ります」


理人は渡された紙に、軽く目を通す。


「社長」

「ん?」


扉の前、一臣がこちらを振り返る。


「何より大切なのは、彼女に寄り添い、支えてあげることだと、私は思います」

「・・・・・・あぁ」


一臣は小さく頭を下げ、社長室を出ていく。

理人は紙をデスクに置き、資料に手を伸ばす。


「・・・・・・」


資料を閉じて、紙をもう一度手に取る。


(においに敏感になる・・・・・・)


タバコは確実にアウトだろう。

やはり、禁煙は正解のようだ。


理人はすべてにきちんと目を通してから、仕事へ戻ることにした。