不遜な蜜月


思わず漏れてしまったため息を飲み込むように、真緒は水を一気に流し込んだ。










「香坂さんですが、つわりが始まったようです」


社長室、資料を理人に渡しながら、一臣は忘れない内に報告しておく。


「つわり? そうか・・・・・・そんな時期なのか」


資料をデスクに置き、理人は頬杖をつく。

つわりと聞くと、やっぱり重い方を想像してしまう。


「友人の金森さんから聞いたのですが、辛いようですね、香坂さんのつわり」

「・・・・・・そう、か」


何となく、つわりがどういうものかは知っている。

それがどれ程に辛いのかまでは、理人にはわからないが。


「つわりについて、軽く調べてみたのですが・・・・・・」

「は?」


顔を上げると、一臣が何やら一枚の紙を取り出している。

秘書課に戻ってすぐ、自身のパソコンを使って調べてみた。