「珍しいですね、このフロアにいるの」
彩子の言葉に、一臣は手に持つファイルに視線を落とす。
「資料が必要だったので。その後、香坂さんの体調はどうですか?」
「え? あぁ・・・・・・つわりが始まったみたい、ですね」
何と言うか、この工藤 一臣という男が、彩子は苦手だ。
どこが、と言われると困るのだが、隙がなさすぎる、と言えばいいのか。
そんな感じがして、どうも苦手だ。
「つわりですか。それは心配ですね」
「そう、ですね。かなり辛いみたいです。私、お昼なんで失礼します」
長居はするまい、と彩子はそそくさとその場を立ち去る。
「ただいま」
「お帰り・・・・・・」
あからさまに具合が悪そうな真緒は、彩子に力無く笑いかける。
「大丈夫?」
「うん・・・・・・」
彩子はビニール袋をデスクに置き、サラダを取り出す。


