不遜な蜜月


やはり、まだ諦められない。

玲奈の力強い目に、一臣は呆れたように肩を落とす。


「もうしばらく待てば、社長がお話になりますよ」

「それは、いい話だと思っていいの?」


一臣はパソコンを閉じ、曖昧に頷く。

それだけ聞けば満足、と玲奈は仕事に戻る。


「先に失礼します」

「はいは〜い」


軽く手を振る玲奈に苦笑しながら、一臣は秘書課を後にした。










自宅に帰った真緒は、開きっぱなしの携帯をベッドに投げる。

画面には、姉宛てに送ろうと書きかけメール。

電車の中で何度も書き直したのだが、どうしても上手く書けなかった。

妊娠したことを告げるのも躊躇ったし、結婚する、ということをまたメールで伝えようとするのは気が引ける。


「電話・・・・・・お父さんたちにも言わなきゃ」


結婚ですべてが解決されるわけじゃない。