不遜な蜜月


できれば、玲奈の口から出ないでほしい名前だった。


「そんなに気になるのか?」


帰り支度を済ませ、理人は玲奈と向き合う。


「気になるわ、とっても」

「・・・・・・なんで?」


理人の女性関係に、玲奈がここまで気にするのは初めてだ。

美紗の時も、あの女は気に食わないとか言っていたが、今回は少し違う気がする。


「兄さんが気にかけてるから、かな」


玲奈は、良くも悪くも理人の女性関係を昔から知っている。

言い寄る女性は、必ずしも華やかなタイプばかりではなかった。

けれど、理人が仕事を後回しにするほど気にかける女性はいなかった、と玲奈は記憶している。

美紗だって、長く付き合いは続いているが、優先順位はいつだって仕事が1番だ。

そんな中で、理人は会議に遅れてまで真緒を送り、今日だって仕事があるのに彼女との時間を作った。

これは何かある、と疑わずにはいられない。