―――ソワソワと、自分のデスクで落ち着きのない玲奈。

そんな玲奈を無視して、一臣は今日のスケジュールを確認する。


「ねぇ、何の話をしてるのかしら? 工藤さん、知ってるんでしょ?」


好奇心に溢れる玲奈の視線を、一臣は尚も無視し続ける。


先程、社長室に真緒を連れて来たのは一臣だ。

十中八九、結婚の返事をするためだろうが、一臣は何も聞かなかった。


「少しくらい教えてくれてもいいじゃない」

「プライベートな事ですので」

「! ということは、やっぱり二人は何かしらあるのね?」


・・・・・・失言だった。

一臣は珍しく、自分の発言を後悔した。


(とは言え、私も気にならないわけじゃない)


彼女の答えは、一体―――。










静かな社長室は、微かにコーヒーの香りがする。

真緒はどうやって切り出せばいいのか、悩んでいた。


「具合はもう良いのか?」