不遜な蜜月


定食屋のメニューを見ながら、真緒は悩んでいた。


「レバニラ・・・・・・」


メニューに書かれたレバニラ定食の文字を、飽きるほど凝視している。


「あんた、レバー苦手なのにレバニラ食べるの?」


さっさとメニューを閉じて、彩子は注目を済ませていた。


「生理が近いから、鉄分補給でもしとこうと思ったんだけど・・・・・・うどんにするわ」


メニューを閉じて、真緒は苦笑する。


「真緒は毎月きちんと来るもんね。私は不順だから、来ない月もあるのよねぇ」


そんな会話は、運ばれてきたアジフライ定食によって遮られた。


「う〜ん、美味しい! やっぱ、揚げたてが1番よね」


満足そうにアジフライをかじる彩子を見て、真緒も笑ってしまう。


「そういえば、社長があんたの名前を聞いてきたんだけど―――何かしたの?」


今朝のことを思い出した彩子は、箸を止めて真緒を見た。


「社長が? ・・・・・・何もしてないと思うけど」