不遜な蜜月


一臣の言葉に、理人は頷く。

そういえば、真緒は会社の制服のままだった、と思い出す。


「荷物も取って来ましょう。確か、友人が同じ部署にいるようだったので、その方に頼みます」

「あぁ」


ゆっくりと車は速度を落とし、マンション前に到着した。


「工藤、後は頼む。急な仕事ならば、連絡しろ」

「わかりました」


車を降り、理人は真緒を抱いたままマンションへと姿を消した。


「まずは買い出しですね。それから、早退の連絡を―――」


携帯を取り出し、一臣は頭の中でスケジュールを組み立てた。










触れた頬は熱かった。

寝室に寝かせた真緒の呼吸は、少し早い。

ボタンをいくつか外し、汗を拭う。


「・・・・・・馬鹿だな」


頑張る人間は嫌いじゃない。

だが、頑張りすぎて体調を崩してしまっては、本末転倒だ。

真緒の前髪を退けて、理人は呆れたような笑みを浮かべる。