不遜な蜜月


ぐらつく視界に、心配そうな誠の姿が映る。


「大丈夫? 具合悪そうだけど」

「大丈夫・・・・・・です」


ふらつく足取りと、薄れかかる意識。

それらが合わさり、真緒は床に座り込む


(しっかりしないと・・・・・・)

「香坂さんっ。 ・・・・・・あ、社長?」


真緒に駆け寄ろうとした誠は、現れた理人の姿に驚いて足を止めた。

理人は床に座り込んだ真緒を見下ろして、ため息を漏らす。


「なんで・・・・・・?」


意味がわからなくて、真緒は理人を見上げた。


「まったく、無理をしすぎなんだ。体調管理もできないのか?」


冷たい台詞だが、声は優しい。


「工藤、車を回せ」


素早く携帯で連絡を済ませると、理人は真緒の体を抱き上げた。


「え・・・・・・?」

「大人しくしていろ。君―――」


理人の視線が、誠へ向けられる。


「・・・・・・営業課の、一ノ瀬です」