不遜な蜜月


大抵、すぐ側にいる一臣だが、今日はいない。


「なんでも、コーヒーを買いに自販機へ。ちょうど豆が切れてたんですよね」

「・・・・・・探して来る」


理人は足早に社長室を出ていく。


「待ってれば帰って来るのに。・・・・・・あぁ、探しに行くのは口実、か」


素直じゃないなぁ、なんてこと、本人を前にしたら、絶対に言えないけれど。

玲奈は微笑みながら、サイン済みの書類を手に取った。





(病院行って、帰ったら休んで・・・・・・。あ、ご飯どうしよう。買い物行かないと・・・・・・)


病気の時、一人暮らしは不便だな、と思う。

母親に連絡する手もあるが、今はそこまで頭が回らない。


(やっぱり、休めばよかった・・・・・・)


資料室から出て、真緒は熱で視界がぐらつくのを感じた。

吐き気はないが、頭が痛い。


「・・・・・・っ」

「香坂さん?」


声が聞こえて、真緒は視線を上げる。