ひとりの女について、ここまで悩むなんて。
以前の自分ならば、絶対に有り得ない。
面倒だと思えば、簡単に切り捨てて、記憶の片隅にさえ残らない程だ。
「いっそ、強引に結婚を迫るか?」
その方がずっと楽だ。
けれど、確実に恨まれる。
あの男に向けた笑顔が、自分に向けられることなど、夢のまた夢だ。
「・・・・・・はぁ」
ため息が、静かな車内に溶けて消える。
この難題をいかにして解決するか。
それを考えてみても、答えは容易に出るはずもなかった。
―――会社を休めばよかった。
一昨日の残業以降、体の怠さと咳は治まる気配を見せず、今朝になって尚更に体調不良が顕著だ。
(朝は微熱程度だったのに・・・・・・)
お昼過ぎ、計らなくてもわかる。
熱が上がっている。
「真緒、早退したら?」
彩子がスポーツドリンクを渡してくれる。


