不遜な蜜月


「仕事、好きなんですか?」

「まぁ、ね。競争するのも好きだし」

「ふふふ。・・・・・・ゴホッ」


咳込む真緒を見て、誠が心配するような視線を向ける。


「風邪?」

「大丈夫だと思います」

「気をつけた方がいいよ。まだ残ってるなら、ホントに手伝うけど?」


真緒は笑顔で首を振り、誠の申し出を断る。


「無理はよくないよ。貸して」

「あ・・・・・・」


真緒を隣のデスクに移動させて、誠は慣れた様子でキーボード叩いていく。

昼間、彩子が手伝ってくれたお陰で、もう少しで終わりそうな量。


「すみません・・・・・・」


真緒が謝ると、誠は疲れを感じさせない笑顔を返してくれた。





―――さっさと帰ればいいのに。

暗いオフィス、一つだけ明かりの点いたデスク。

真緒の背中を見つめ、理人はため息を漏らす。


(誰だ、あの男?)


真緒と親しげに話している男性。

確か、営業課の・・・・・・。


(・・・・・・なんだ? 落ち着かない)