チョコケーキ戦争


「はぁ……」

チョコーヒーを買い、席に着く。
口から漏れるのは、溜め息ばかり。

状況が状況だったとはいえ、やはり後悔している。
辺りを見渡せば、美味しそうにチョコケーキを食べている人達。

彼は舌打ちをし、そっぽを向いた。

「紘哉さん……」

羽兎の声が聞こえる。
彼は羽兎の方を向かずに、返事をする。

「何だよ」

「これ、霞さんから」

そう言って、彼女はテーブルにチョコケーキを置いた。
思わず紘哉の動きが止まる。

彼は羽兎を見上げた。

「何か、一部始終を見てたっぽいよ。それに、紘哉さん今日誕生日だからって……」

「……」