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「お待たせしました。チョコケーキです」
笑顔が素敵な店員から、彼はチョコケーキを受け取った。
ジャンケンの結果、見事チョコケーキにありつけた紘哉と霞。
羽兎は膨れっ面で、ココアを頼んだ。
細やかな自分への誕生日プレゼント。
顔が綻びそうになるのを抑え、空いている席を探す。
その時、店内に子供の泣き声が響き渡った。
泣き声は紘哉のすぐ近くからする。
彼は声のする方へ向いた。
小さな男の子が、トレーを持ったまま泣いている。
その子の立っている場所には、チョコケーキらしき物が落ちている。
慌てて親らしき人と店員が駆け寄り、掃除をし始めた。



