「……まぁ、佐倉のこと傷つけたら、その時は本当に奪うけどね」


「……ふーん。そんなことにはならねぇよ、絶対」


「……あっそ。まぁ、せいぜい頑張れよ」




斎藤がアイツのことを好きだと知ったのは、たしか高1の時だった。
図書委員を彩音がやっていると知った時から、図書室へ本を借りに行き、彩音との距離を少しずつ縮めようとしていたのは、あの時からずっと知っていた。



だからオレも、綾音が好きだと気付いた時、斎藤にだけは奪われたくないと。
……そう思っていた。



だからなにがなんでも、オレのそばに置いておきたい。
だから、アイツにワザとキスして、付き合う口実を作った。



ほんとに、卑怯なことしたと思ってるけど。