「あの噂、本当なんだ」


「ああ。まあ、そういうやつだよ。………そういや、いつだか忘れたけど、アイツ好きな女がいるって聞いたことあるな」


「えっ?そうなの?」


「ああ。クラスは違うけど、好きな女がいるって、一回だけ聞いたことがある」


「そうなんだ。なんか、恋愛とか興味なさそうだもんね」




斎藤くん、よく分からない不思議な人だな。
参考書ばかり借りているから、勉強が本当に好きな人でなのかな、とは思ってたけど。




「……彩音」


「ん?」


「あんま、アイツに関わるよ」


「え?アイツって、斎藤くん?」


「ああ」


「……なんで?」


「斎藤が参考書ばかり借りるのは、おまえの顔を見たいからに決まってんだろ」


「……えっ?」



言っている意味がよく分からなかった。