ヤコとYシャツとマサくん



気がつけば、ソファに寝ていた。


何時の間にか、新しいジャージに着替えも済んでいる。


目線の先に、マサくんの横顔。


お風呂にでも入ったのかな?


そりゃそうだよね、入るよね。


「…マサくん」


もう一度、謝ろうとした時、マサくんがクンクンとやりだした。


着ていたYシャツの匂いを嗅いだ。


あれだけノリをきかせてアイロンをかけた、パリパリのYシャツ。


見るも無残にシワシワになり、リバースの匂いが取れないんだ。


わたし。


一体なにしてるんだろう…。


そう思うと泣けてきた。


自分と自分のしたことと。


前ほど信頼できなくなった、大好きな人。


一度流れた涙は止まらず。


「ヤコさん、まだ気持ち悪い?」


マサくんが顔を覗きこむ。


近い。


悲しいくらいに近い。