本来、彼はこの時期は補習三昧の筈。

高成とて、龍太郎がいつまでも正月を自由に過ごしているのは許さない筈だ。

しかし龍太郎は、高成に頼み込んで早朝だけは時間を貰っていた。

「ふぅうぅうう…」

白い息を吐き出しながら、立禅。

新年を迎えたら修行始めをしよう。

龍太郎は昨年の暮れからそう決めていた。

龍娘はしまじろうと結婚して、新婚初の正月。

個人的な修行に付き合わせる訳にはいかない。

拓斗は龍太郎に付き合うと言い張ったのだが、彼とてようやく喜屋武と上手くいき始めたばかり。

新年くらい、兄妹や家族ともゆっくり過ごさせてやりたい。

それに。

(拓斗ももう只の兄弟弟子じゃねぇ、今年は強力なライバルになるかも知れねぇかんな)