転落防止用フェンスの向こうから、誠一郎は見ていた。

…龍太郎が来た。

その事は別段驚かない。

初戦、屋上から落下させた龍太郎が、鷹雅によって地面への激突を免れたのは知っている。

だから生きている以上、必ずまた来ると思っていた。

『丹下 龍太郎という男は、しつこく執拗に邪魔をしてくる男』

忌み嫌った兄から、その事はよく聞かされていた。