「そういえば」

誠一郎は突然呟く。

「もうすぐご出産だそうですね。おめでとうございます」

「何?」

不意にそんな事を言われて虚を突かれる龍娘。

その言葉の真意に気付いた時には。

「が…はっ!」

既に触手の一撃が、大きくなった腹にめり込んだ後だった。

無数の触手の攻撃に紛れて、更にはまたも影に乗じて襲い掛かってきた本命の触手。

悪辣な一撃こそが、誠一郎の狙いだった。