「ほらっ、そこはもっと補強してっ!」

五十嵐工務店棟梁・五十嵐 おんこの声が響く天神学園校庭。

特設リングの設置は急ピッチで進められている。

「おぉ、今年もリングは五十嵐工務店か」

放課後。

一日を終えて下校しようとしていた龍太郎が言う。

「当然だよ」

直々に設置の手伝いをしていた生徒会長のかなこが、額の汗を拭いながら龍太郎の顔を見る。

「今年のタイマントーナメントは、例年になく激しくなりそうだからね。去年よりもリング固定の支柱を増やして、材質もより強度の高いものに変更したんだよ」