その頃。

「やぁ、潮風が気持ちいいですねぇ」

海のど真ん中、帳はタライ舟を漕ぐ手を止めて目を閉じる。

「気持ちいいってレベルじゃねぇだろおがよ、帳さんよぉっ!」

その後ろでゼーハー言ってるのは龍太郎。

ここに来るまでに何回転覆したのだろう。

もう全身びしょ濡れにも程がある。

「ああ、そういえば学園の職員室のテレビ見てたら、今日は高波警報と暴風波浪警報が出てました」

「それおかしいから!普通船とか出さねぇから!てか…」

龍太郎、ややタメを作る。

「これ船じゃねぇからっっっっっっっ!」

「そうだ、夕食に何か魚でも捕まえて帰りましょうか」

「人の話聞こうぜ帳さんっっっっっっっ!」