「だって、あのカップルの彼氏の方どうみても淳也先輩じゃん」

時が止まった気がした。
「な、ないない!だってあの淳也だよ?」
「なら、見てみなよ。ほら」

美咲の視線の先へあたしは目をやった。カフェテリアの迎え側には小さなケーキ屋さんがある。
そのケーキ屋さんの中で向かいあって座っているカップル。
でもよく見ると見間違えるわけが無い。
あの茶髪であの大好きな笑顔は…

淳也本人だった。

「え…」
あたしはただ呆然にカフェモカが入ったコップをテーブルに置き、その光景を見てることしかできなかった。
あたしの中の何かが壊れていくのを感じた。

「ご、ごめん!」
美咲はそんなあたしを見て悲しそうな顔でそう言った。美咲はなんにも悪くないのに。何度も謝っていた。

「なんで、美咲が、あやまんのよ」
「だ、だって…あたしが優花に言わなかったら」
「どっちにしろあたしは淳也に憧れていただけだから大丈夫!だから久々にプリでもとりにいこーよ☆」

美咲はそんなあたしをみてホッとしたのかまた笑顔に戻った。


「憧れ」とかじゃなかったのに
本当に好きだったのに
あたしは何故そんなことを言ってしまったんだろう。

自分の言葉で自分が傷つくだなんて…ホント馬鹿みたい。

あたしの片想いはこうして終わりを告げた。